Books

  • TOP > 
  • BOOK > 
  • 四角い空のむこうへ ...

四角い空のむこうへ ー 難病でも自立したい13歳の夢と決意

“難病でも自立したい13歳の決意”――メディアでも紹介された実話にもとづく物語

いつかぼくは、人工呼吸器をつけた気象予報士の第1号になるんだ!

中学2年生の主人公は、生まれつきの筋肉の病気で、人工呼吸器と車いすの生活を送っている。ハンディキャップがあっても、いつか仕事につき、母親を楽にしたいと願う彼は、「気象予報士」にひそかなあこがれを抱いていた。それを知った父親は、ある日、彼が寝ている居間の天井に、天窓をつくる。そこから見える空の表情をながめながら、主人公は、気象予報士になる夢をふくらませていくのだった……。

作者のあとがきより

「医療的ケア児」という言葉を知ったのは、ある女性誌の特集記事からでした。そこには、NHKを退職され、「もみじの家(国立成育医療研究センター)」という医療型短期入所施設のハウスマネージャーをされている内多勝康氏の記事が載っていました。なかでも、当時、通所してきているアッキーこと川田晃夫君の感動的なエピソードに私は、ビビッと来てしまったのです。
とるものもとりあえず、内多さんに連絡をし、アポイントを取り、世田谷のセンターに伺い、夢中で話をお聞きしました。医療的ケア児の日常や将来の夢など、状況を把握すべく取材をさせていただいたのが始まりでした。
念願のアッキーに会うことができたのは、それからちょうど1年後の、ある晴れた1月の朝でした。思った通りの、いえ想像以上に明るいアッキーとご両親、妹さんにお会いして、一挙に絵本のシナリオが出来あがっていきました。
その間、外出困難者が分身ロボットOriHimeを通じてはたらく日本橋のカフェ「DAWN ver.β」を運営するオリィ研究所の吉藤オリィさん、アッキーのような医療的ケア児を取材・撮影し、発信し続けているNHK報道局の川﨑敬也カメラマン、この物語にも登場するアッキー憧れの気象予報士・佐藤公俊さん等々、素敵な出会いがいくつもありました。
晃夫君やお母様とのLINEも開通し、さまざまな心の機微や医療の情報などをいただき、絵本が出来ていくのを温かく見守っていただけたことが望外の喜びでした。そして、絵本の絵を描いてくださるパートナーを探しているとき、画家の羽尻利門さんが描かれた絵本『夏がきた』の空の青さに魅せられ、アッキーの天窓からのぞいた青空を描いていただくのは彼しかいないと確信しました。こんな素敵な出会いを演出してくれた、晶文社の浅間麦さん、装丁家のアルビレオ・草苅睦子さんには心から感謝をしています。
すべての医療的ケア児の明るい未来と絵本の限りない可能性を願って、祈るような気持ちで筆をおきます。

Amazon