Column
私の起業への道のり── 三つの夢を叶えて
小学校2年生の時に抱いた「新聞記者、編集者、作家になりたい」という三つの夢──これが私の人生の原点です。
フレーベル館という出版社で30数年間、編集一筋で働いてきました。「アンパンマン」や「キンダーブック」といった大ヒットシリーズ商品の担当役員を務め、重責を担うことになりました。その間、あらゆる書物を読み、保育の勉強もして、絵本のことを隅々まで勉強できたのです。

全国各地で講演会をさせていただく機会もいただき、当初は園向けの保育雑誌「キンダーブック」の魅力について話していたのですが、やはり絵本そのものの持つ本質的な力、魅力というものに私自身が目覚めていき、学びながら講演活動をするようになっていきました。
50歳になった頃、役員になり、その後12年ほど取締役を務めさせていただいたのですが、やはり小学校2年生の時に抱いた夢──新聞記者、編集者、そして作家になりたいという三つの夢のうち、三つ目がまだ叶えられていないことを意識し始め、チャレンジをしたいという気持ちになっていきました。
自らの第二、第三の人生において、「自分で企画して自分で書く」ということをやりたいと強く思うようになっていったのです。
それで一念発起して会社を起こし、執筆活動と、得意なセミナー活動を生業にしようと考えました。セミナーやコンサルティング、編集、ライターの仕事等、立体的に展開できる会社を作りたいと思い、「チャイルドロアクリエイト®」という会社を立ち上げました。

20年も前に詩人の故谷川俊太郎先生に「そんなに創作意欲があるなら、あなたが書けばいいじゃない」って言われたんです。当時は「そんなの無理に決まっているじゃないですか」って言っていたのですが、彼が「人間に不可能なことなんかないよ」って言ってくださって、すごく嬉しかったですね。「やれるかも」って思いました。

フレーベル館という前職の会社での経験のおかげで、企画を立てる際のポイント、視点というものが常に自分の中で生まれ、育まれるようになっていきました。世間をしっかりと見る目、子どもたちの未来を見据える姿勢、そういったものが総合的に身体に染みついていったのだと思います。
30年、40年とインプットを続けてきたおかげで、自分のフィルターを通して世の中に発信できるものが構築されていったように感じます。起業は、そのすべての経験があったからこそ実現できたのです。